君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】
第5章 昼休み
「違う違う。こーこーでーすー。」
××さんの手が私の顔に伸びて来てドキッとした。
その手はご飯粒のあるところを指差すだけで、取ってくださるという行為にまでは至らなかった。
それはそうか。さすがに××さんがそこまでするわけないでしょう。
××さんの恋人になられた方は、「ご飯粒ついてるぞ。」なんて可愛く言われながら、ご飯粒を取っていただけるのでしょうかねぇ?
「・・・ありがとうございます。」
「たっつんがそんなミスするなんて珍しー。」
あなたの前だから、らしくないミスをするんじゃないですか。
言えない言葉をぐっと飲み込んで、私はお弁当の残りに手をつけた。