第9章 そして…
「……トランクス……私、」
涙を目にいっぱい溜めながら、ユメは小さく彼の名前を呼ぶ。
ゆっくりと腕の力を弱めて、トランクスがユメの濡れた瞳をまっすぐに見つめる。
「この半年、ずっとユメを待ってた……ずっと、逢いたかった……」
その表情は真剣で、でも今にも崩れてしまうそうで……。
彼の瞳の中で、ユメもくしゃりと顔を歪ませる。
半年……?
ずっと?
私が忘れようと……考えないようにしていた間も、ずっと……?
「なんで? ……私、トランクスに、最低なことを……」
すると、トランクスは首を振った。
「ユメの話を聞いたときは、確かにショックだった。……でも、それよりも、ユメがいなくなったことの方が、ずっとショックだった」
苦しそうに、話してくれるトランクス。
「どこを探しても、ユメの気が見つからなくて……。オレは自分のしてしまったことを、たまらなく後悔した」
「トランクスは何も……!」
ユメの言葉を遮って、トランクスは悔しそうに続ける。
「オレは聞いてあげることが出来なかった。……あのとき、ユメはオレを頼ってくれたのに、オレは何もしてあげられなかった」
そこで一旦言葉を切ったトランクスは、ゆっくりと手を伸ばし……ユメの頬に優しく触れた。
まるで、ユメがそこに居ることを確かめるように……。
「オレは、この世界がどんな世界でもいい。……大切な人が、守りたいと思う人がそばに居てくれるなら、どんな世界でも……」
……ねぇ、トランクス。
今、私の想いを……伝えていいですか?
ユメは小さく息を吸って、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「好きです」
もう、抑えない。
この想いを伝える為に、この世界に戻ってきたのだから……。
「私、トランクスのことが好きです」
まっすぐにトランクスを見つめて、ユメは自分の想いを告白する。
「トランクスが、好きです」