第8章 四日目の夜
全身が熱い。
熱くて、熱くて、まるで熱に侵されたように頭がぼーっとする。
そして同じくらい顔を赤くしたトランクスが、もう一度口を開いた。
「会ったばかりでこんなこと言って、軽い奴だと思われるかもしれないけど……」
その真剣な澄んだブルーアイに自分が映っている。
「でも、本気です。本気でユメが好きなんです」
もう一度はっきりと告げられて、やっと思考が猛スピードで動き出す。
――う、うそ……。
トランクスが私を……?
目の前で言われたのに、まだ信じることができない。
だって、あのトランクスが……、
ずっと憧れていた、好きだったトランクスが……私を……?
スプーンを握ったままだった自分の指先が微かに震える。
どうしよう……嬉しい……!!
胸が張り裂けそうで、それくらい嬉しくて、まるで言葉を忘れてしまったかのように何も言えなかった。
でも――。
「それで……その」
ユメをまっすぐに見つめながら、ゆっくりと続けるトランクス。
「ユメが家に帰ったあとも、会ってもらえますか?」
そう訊かれた瞬間、ズキッと、胸の奥に痛みが走った。
あんなに熱かった身体が、急激に冷えていく。
残ったのは、ドクンドクン……という、酷く重たい心臓の音。
「……ユメ?」
何も答えないユメに、トランクスが心配そうに声を掛ける。
それにビクリと反応するユメ。
「あ……、」
やっと口を開いて声を発してみたが、その後が続かなかった。
嬉しいのに……。
すごく、嬉しいのに……。
……なんで、“私も”って、
“私も好き”って、言えないの!?
心の中で泣き叫ぶユメ。
そんな自分をまっすぐに見つめてくる青い瞳に耐えられなくなって、ユメはスっと視線を外してしまった。