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【DB未来トラ】想い

第6章 三日目の夜



 突然の大声に、トランクスが驚いた顔でユメを見つめる。


 ――そういえば、一日目の夜もここで大声を出して泣いてしまったことを思い出す。


 でも、今回は泣いてはいけない。

 私は、泣いてはいけない。


「辛いはずだから! 絶対に、あんなの辛いに決まっているから……」


 これ以上、笑って欲しくなかった。


 ……トランクスは優しい。そして、強い。


 だから、きっと辛いときも笑っていられるのかもしれない。


 でも……。


「辛いときは辛いって言って!」

「……」

「じゃないと、いつかトランクス壊れちゃうよ……っ」


 言いながらこみ上げてきたものを必死に抑える。


 ダメ!

 泣いたらダメ!


 ……私は、泣いてはダメ!!


 そう自分に言い聞かせて、ユメはトランクスをまっすぐに見つめる。


「無理、しないでください」

「……」

「私、トランクスの笑顔が好きだから……こんなときに笑って欲しくないです」


 トランクスが好きだから……。

 だから……。


「辛かったら、泣いてください」


 トランクスがゆっくりと目を瞑り、俯いた。

 しばらくそのまま沈黙が流れる。


 ユメはトランクスの言葉を待った。


 ……もしかしたら、ウザイって、思われたかもしれない。

 でも、言わずにいられなかった。


 トランクスが俯いたまま、ゆっくりと目を開けた。


「昔、」

「……」

「好きな人が死んだとき……いっぱい泣いたんだ」


 表情を隠して、淡々と話すトランクス。


「その時、もう泣かないって決めたんだ」


 ユメは締め付けられるように痛む胸を押さえながら、その言葉を聞く。


「もう、慣れたと……思っていたんだ」

「トラ……」

「けど、やっぱり……今日のは結構、効いた……な」


 そこで、トランクスが声を詰まらせた。


「……トランクス……」

「ユメ、お願いがあるんだ」

「何?」

「昼間みたいに抱きしめてもらって、いいかな? ……すごく、落ち着くんだ」


 ユメはそんなトランクスの言葉に少し赤くなりながら、頷いた。


「……うん」

「ありがとう、ユメ」


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