第6章 三日目の夜
その夜。
ユメはベッドの上で天井を見つめていた。
疲れているはずなのに、眠れなかった。
この世界に来て、三度目の夜。
一日目の夜は、不安で眠れなかった。
二日目の夜は、幸せな気分で眠りにつけた。――それが昨夜のこと。
三日目の今夜は……胸が痛くて、眠れそうになかった。
ユメは立ち上がりドアに向かう。
(……あそこに行こう)
一日目の夜に行ったあの部屋へ。
なぜかはわからない。
でも、なんとなく……そこにトランクスがいる気がした。
廊下を一人歩き、リフレッシュルームの前に立つユメ。
ドアを開けると、そこはすでに照明がついていた。
そして、
「ユメ……」
「トランクス」
二人はお互いの名を呼んだ。
トランクスは突然の訪問者に驚いたりはしなかった。
椅子に座り何か飲みながら本を読んでいたようだ。
「あ……一人の方がいい?」
ユメは訊く。邪魔にはなりたくなかった。
「いや。座って」
ユメはほっとしてテーブルに近付き、あの時と同じ椅子に座った。
トランクスがふっと笑う。
「何でだろう。ユメがここに来るような気がしたんだ」
ドキリと胸が鳴る。
「……私も。トランクスがいるような気がした」
するとトランクスは少し驚いた顔をしてから微笑んだ。
「そっか。……待ってて良かった」
「え?」
思いもよらない言葉にユメは目を見開く。
トランクスがこちらを見つめて言う。
「今日は本当にごめん。あんなことになっちゃって」
ユメはブンブンと強く首を振る。
「トランクスは何も悪くないから! ……だから、謝らないで」
「ありがとう」
トランクスが笑う。
でもその笑顔は、とても痛々しくて……。
「トランクス……大丈夫?」
するとやっぱり笑ったまま、彼は答えた。
「オレは、慣れてるから……平気だよ」
――瞬間、スッと身体が冷たくなった気がした。
「トランクス」
「ん?」
「……笑わないで」
「え?」
トランクスの笑顔が強張る。
ユメは続ける。
「笑って、“慣れてる”とか、言わないで!」