第5章 三日目
試着室を出ると、普段と変わらない笑顔のトランクスが立っていた。
ねぇ、さっき、どんな顔をして“はい”と言ったの……?
ユメは、時間を少しだけ前に戻したかった。
「それ着て母さんに見せたらきっと大喜びするよ」
「そ、そうかな……」
先ほど買ってもらった服の袋を持って照れるユメ。
……でも、どちらかと言うとトランクスに喜んでもらいたいな。
「さて、最後は食料だ」
ふたりはスーパーに入った。
大きなカートの下の段に先ほどまでの荷物を置いて、野菜コーナーから順に回っていく。
「えっと、次はジャガイモ」
「あ、あそこ!」
これならわかると、ユメは張り切って一緒にカゴを埋めていく。
途中、
なんか、こういうのって夫婦みたい……!
と、小さく幸せを感じてしまったユメだった。
レジも難なくクリアーした二人。
「荷物多くなっちゃったし、帰りは車だな」
カゴの中身をビニール袋に詰め込みながらトランクスは言う。
……あ、そっか、ホイポイカプセルがあるんだっけ。
やっぱり便利だなぁとつくづく思うユメ。
そして、二人はスーパーを出た。
これで、終わったんだ……!
帰りは車。行きのような辛い思いもしなくて済みそうだ。
中庭の中央にある噴水を過ぎた頃、ユメは口を開く。
「お使い終了だね!」
「うん。……正直こんなにスムーズに行くとは思わなかったよ」
安堵の表情でトランクスが言う。
「良かったね、トランクス」
ユメが笑顔で言うと、トランクスはこちらを見て微笑んだ。
「ユメのおかげだよ」
「え!?」
驚くユメ。
「わ、私、何もしてないし!」
実際に何もしていないので、何でトランクスがそう言うのか全くわからない。
頭を振るトランクス。
「隣に、いてくれるだけでいいんだ」
ドキっ……。
トランクスの優しい瞳に胸が高鳴る。
「きっとオレ一人だったら、こう上手くは行かなかったと思う」
「そ、そんなこと……!」
「ありがとう、ユメ。一緒に来てくれて」