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【DB未来トラ】想い

第5章 三日目



 そのとき。


「いかがですか? 良かったら試着してみますか?」


 上品そうな女性店員がユメに声を掛けてきた。

 瞬間ヒヤリとするが、どうやらその店員はトランクスに気付かなかったよう。


「あ、じゃぁ、お願います」


 するとその店員はマネキンが着ているのと同じものを取ってきてくれた。

 試着室に案内され、中でドキドキしながら着替えるユメ。

 最後にジャケットを羽織り鏡を見ると、やはりいつもより大人っぽい自分が映る。


 でも……やっぱりなんか変な気がする……。


 見慣れていないせいもあるが、なんだかすごく違和感があった。


「いかがですか?」


 外から店員の声。


「サイズはぴったりでした」

「開けてもよろしいですか?」

「あ、……ちょっと待って」


 慌ててユメはもう一度鏡を見る。

 外にはトランクスがいる。

 ……おかしくないだろうか。

 顔が火照る。……緊張する。


「あの、大丈夫です」


 言うと、試着室のドアがゆっくりと開いた。


「良くお似合いですよ」


 にっこりと言う店員。

 それより、トランクスの反応が気になる……。

 視線を廻らすと、彼と目が合った。


「うん。すごく似合ってるよ。これに決めよう!」


 笑顔で言われユメは少し照れながらも安心した。


 良かった。似合うって言ってくれた。

 嬉しい……!


 ユメはもう一度閉められた試着室のなかで顔を緩ませる。

 現金なもので、トランクスに言われてもう一度鏡を見ると、本当に自分に似合っているように思えた。


「可愛らしい彼女さんですね」


 え……!?


 急に聞こえてきた穏やかな店員の声に、ユメは固まる。


 ト、トランクスに訊いてるの!?


 そして次に聞こえてきたのは、トランクスの声。


「はい」


 たった、それだけの返事。

 だが、ユメの顔は瞬時に真っ赤に染まった。


 否定しないの? トランクス……。


 バクバクと鳴り出す心臓。


 ……否定するのが面倒だっただけ?

 私に声が聞こえていること、わかってる……?


 ねぇ、トランクス。

 私、自惚れちゃっていいの……?


 胸が、苦しいくらいに締め付けられた。


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