第5章 三日目
「こんなのどう?」
「うーん……ちょっと大人っぽ過ぎる気が……」
「そう? 似合うと思うけどなぁ」
言いながら少し残念そうにその服を元に戻すトランクス。
その後ろでユメはうつむき加減で赤くなっている。
嬉しいけど……絶対似合わないもん……。
いつもカジュアルなものを着ているユメにとって、大人っぽい服はどうも抵抗があった。――というより、似合う自信がなかった。
でも。
「あ」
ふと、視線の先に立っていたマネキンに目が留まった。
「ん?」
トランクスもその視線を追う。
「あれ、かわいい……」
そう言ってそのマネキンに近付いていくユメ。
そのマネキンは、ワンピースにデニム生地のジャケット、という格好をしていた。
大人っぽいワンピースにカジュアルなジャケットという組み合わせがユメの目を惹いた。
一目惚れだった。
「うん。いいんじゃないかな」
トランクスもそう言ってくれて嬉しくなる。
だが、ちらりと見えた値札にユメは慌てた。
「や、やっぱりいい! もうちょっと他の探すよ」
「え? 何で?」
キョトンとユメを見下ろすトランクス。
だ、だって、これすっごい高いし……!
その服は、ユメがいつも買う服よりゼロがひとつ多かった。
「オレもいいと思うけどな。嫌だ?」
「その……これだと2枚になっちゃうし、ちょっと高いかなと思って」
ハハ……と笑いながらユメは言う。
するとトランクスがどれ?と値札を手に取った。
「なんだ、このくらいなら全然平気だよ。気に入ったのならこれにしよう。ね?」
そう屈託のない笑顔で平然と言うトランクス。
「え!? ……あ、じゃぁ、お願いします」
びっくりしたが、その後すぐに納得する。
――そうだ。トランクスってお金持ちなんだっけ……。
なんとなくドキドキしてしまうユメだった。