第5章 三日目
そして、二人はモールに到着した。
「うわ、すごい人」
ユメは思わず声を上げる。
噴水のある広い中庭をコの字で囲むようにして3階建ての建物が並んでいる。
その外通路に大勢の人が行き交っているのが見えた。
今二人が立っているその中庭にも家族連れなどがシートを敷いたりして気持ちよさそうに日向ぼっこを楽しんでいる。
人口密度で言ったら昨日の遊園地より高そうだ。
「でもこれだけ人がいれば、オレだって気付かれないかもしれないな」
トランクスが少しほっとしたように言う。
確かに、これなら人ごみに紛れることができる。
それに皆買い物や遊びに夢中で、他人を気にする余裕はなさそうだ。
よっぽどのことがない限りトランクスに気付く者はいないだろう。
ユメも少し肩を落とす。
「まずは何を買うの? トランクス」
「えっと……」
トランクスは上着のポケットからブルマからもらったメモを取り出す。
「工具と食料がほとんどだから、まずはあそこに行こうか」
そう言ってトランクスが指差したのは看板に目立つロゴが描かれたホームセンターらしきショップ。
きっとこの世界では有名なお店なのかもしれない。
店内もすごい人だった。
そんな中をカートを引いて次々とカゴの中に工具を入れていくトランクス。
ユメには全くわからないものばかりなため、トランクスの後ろをただついて行く。
しかし、しっかりと周囲をチェックすることは忘れなかった。
メモに書いてあった工具が全て揃ったときには、カゴが溢れそうになっていた。
レジに並んだときが一番ドキドキしたが、どうにか何事もなく通過することができた。
「私も少し持つよ!」
「ありがとう、でも大丈夫だよ。このくらいなんともない」
そう言って重そうな袋を片手で楽々持ち上げるトランクス。
さすが……と思いながらユメが目を真ん丸にすると、トランクスは小さく笑った。
「さて、次は食料……の前に、ユメ」
「え?」
「服、買ってあげるよ」
にっこりとトランクスが言った。