第5章 三日目
「良く眠れた?」
読んでいた新聞をテーブルに置いてトランクスがにこやかに訊いてきた。
朝の光を受けながら新聞を読むトランクスもカッコイイなぁ……。
などと、思わず見とれそうになりつつ、ユメは元気良く頷く。
「うん!」
いつのまにかユメの定位置になった場所に腰を下ろして気付く。
「あれ? ブルマさんは?」
「母さんは研究室の方にいるよ。朝ごはんはこのパンを食べてって」
テーブルの上のバスケットには、おいしそうなパンが何種類か並べられていた。
「美味しそう♪」
ユメがどれにしようか迷っていると、
「コーヒー淹れようか、それともミルクにしとく?」
そう言って、トランクスが立ち上がった。
「あ、えっと、ミルクでお願いします」
「かしこまりました」
笑顔でキッチンの方へ行くトランクスをユメはポーっと見送る。
……な、なんか今の会話って、すごく幸せな感じ~!
にへら~と顔を緩めながら、手に取ったロールパンを口に入れるユメ。
と、背後でドアが開く音がして慌てて顔を引き締める。
「ちょっとトランクス! 買物頼まれてくれない?」
言いながらブルマがリビングに入ってきた。
「あ、おはようユメ」
「おはようございます!」
「ごめんね、朝ごはんそんなんで」
「いえ! このパンすごく美味しいです」
「そう? ……あ。そうだ、ユメも一緒に行ってくれない?」
「え?」
ユメはキョトンとブルマを見る。
「買物ってどこへです?」
と、カップを持ったトランクスが戻ってきた。
そのままユメの前にミルクの入ったカップを置いてくれ、ユメは短くお礼を言う。
「いくつか欲しいものがあるのよ。すぐそこの、ほら、最近リニューアルしたショッピングモール。そこなら全部揃うと思うから、行ってきて欲しいの」
トランクスの顔が少し翳ったのを、ユメは見逃さなかった。
「でも、あの、オレがそういう場所に行くと……」
俯き、言い難そうに口ごもるトランクスに、ブルマが強い口調で言った。
「トランクス。あんた、いつまでそうやって避けていく気なの?」