第4章 二日目の夜
「……」
「……」
お互い目線を外して、少しの沈黙。……そして、
「……車で帰りましょう」
「え……?」
沈黙を破ったのは笑顔に戻ったトランクスだった。
「ちょっと時間は掛かるけど、その方がユメも寒くないだろうから」
あ……。
トランクスに言われてホっとしたのと同時、ユメの中に“寂しい”という感情が生まれる。
ユメはこの矛盾しまくった感情に戸惑った。
でも、こうなってしまった以上さすがに『やっぱりお姫様抱っこしてください』なんて言えるわけない。
それこそ、トランクスに自分の気持ちをばらしてしまうようなものだ。
「……ごめんなさい」
もう一度、ユメは謝った。
「ううん。ユメが謝ることないよ。別に朝と違って急いでるわけじゃないんだし。ゆっくり音楽でも聴きながら帰ろう」
そう言うトランクスの笑顔は、いつも通りの優しい笑顔で、ユメはほっとした。
そして同じように笑顔で頷いたのだった。
――ふたりがカプセルコーポレーションに到着したのは、それからニ時間後。
それでも普通に会話は盛り上がり、あっという間な気さえした。
……だけど、やっぱりちょっと残念だったかな……なんて思ってしまうユメだった。