第4章 二日目の夜
それから少し歩いて人気の無い場所に来たふたり。
「よし、この辺なら人目につかないな」
周りを確認してトランクスは言う。
「そ、そうだね」
頷きながらもユメの心臓はバクバクと煩いくらいに鳴っていた。
あああぁぁ~緊張するよ~~!!
トランクスは飛行機に乗った気分で……なんて言ってくれたけど、きっとまともに話なんか出来ない!
……や、やっぱり今からでも断った方がいいかもしれない。
直前で弱気になってしまったユメ。……と。
「じゃぁ行こうか」
「え!?」
気が付くと、トランクスはすでにユメの至近距離にいた。
っひゃあぁぁ~~!
そしてトランクスは少し屈んでユメの腰に手を回す。
~~っ、やっぱりダメっっ!
「――ちょ……ちょっと待ってください!!」
思わず、そう叫んでしまっていた。
「ユメ……?」
トランクスは不思議そうにユメを見る。
「あ……ご、ごめんなさい。ちょっと、あ、あの……」
……本当に今が夜で良かった。心の底からそう思う。
今のユメの顔は沸騰寸前で、しかもパニックのあまり泣きそうな表情になってしまっていたから。
ユメはそれでも顔を隠そうと俯き、一生懸命に次の言葉を探す。
でもどうしても上手い言い訳が見つからない。
そうして自分からどんどんパニックに陥っていく。
……と、
「……ごめん」
ぽつんとトランクスが言った。
え……?
ユメはゆっくりと顔を上げる。
……なんで、トランクスが謝るの……?
トランクスはユメから視線を外していた。
「やっぱり女の子は怖いよね。……ごめん! やっぱり車で帰ろう!」
最後はこちらに背を向けてトランクスは言った。
――!!
「ち、違う! トランクス!!」
ユメは咄嗟にトランクスのシャツを掴む。
さっきちらっと見えたトランクスの顔は、昨夜、人に拒否されることを“しょうがない”と笑った、あの顔と同じだった。
……私、なんてこと……!!