第4章 二日目の夜
地上に無数の星が溢れている。
まさにそんな風景が目の前に広がっていた。
今ユメたちは光と音楽に全身を包まれていた。
幻想的な光と思わず一緒に踊りたくなるような音楽。
そう、遊園地のメインイベント、ナイトパレードが始まったのだ。
広場は集まってきた人達でとんでもなく混雑していたが、ユメたちは早めに場所取りをしていたおかげでほぼ一番前でパレードを観る事ができた。
次から次へと様々な光の団体が目の前を通っていく。
光る服を身に着け優雅に舞う踊り子に、ラッパを高らかに鳴らしながら行進する兵隊さん。
もちろんその兵隊さんが被る長い帽子と制服もぴかぴかと様々な色に光っていた。
ゾウやキリンなど大きな動物も出てきた。
その背中に乗っている動物使いのお姉さんがこちらに大きく手を振って、見ている子供たちに笑顔を振り撒く。
ユメはパレードが始まってからまだ一言も声を発していなかった。
それほどに感動していたのだ。
「綺麗だね」
そんな中、トランクスが音楽にかき消されそうな声で呟いた。
それを聞き取ったユメはトランクスを見上げコクコクと何度も頷いた。
そんなユメを見て、トランクスが笑う。
「ユメ、また涙ぐんでる」
「だ、だって……感動しちゃって」
やっとのことで言うと、トランクスは微笑んでユメの頭をやさしく叩いた。
――本日、二回目の子供扱い。
それでもユメは嬉しくて、トランクスに笑顔を向けた。
そして、二人はまたパレードに見入る。
……この瞬間を絶対に忘れない自信があった。
今、こうしてトランクスと同じ感動の中にいられることがとても嬉しかった。
ふたりは、この魔法のような時間が終わるまで、無言でパレードを見つめ続けていた……。