第3章 二日目
「リイナちゃん、よっぽどトランクスのこと気に入ったんだね」
「はは……」
リイナちゃんは、今トランクスの足を枕にして寝てしまっていた。
ここは迷子を一時預かる部屋。
他にも5人ほどの小さな子供たちが親の迎えを待っていた。
おもちゃがいたるところに散乱し、小さな滑り台なども置かれていた。
子供達は泣いたりせず楽しそうにそのおもちゃで遊んでいる。
さっきまでリイナちゃんも夢中になって遊んでいたのだが(もちろんトランクスも一緒に)、しばらくしてウトウトし始めたなと思ったら、コテンと寝てしまったのだった。
やはり疲れていたのだろう。
トランクスは身動きできないことに困りながらも嬉しそうだった。
「かわいいなぁ……」
言いながらリイナちゃんの頭を優しく撫でる。
そんなトランクスを見て、ユメは幸せを感じていた。
まるでトランクスとリイナちゃんは本当の親子のよう。
その隣に今自分がいることが、とても幸せだった。
……ありえないけど、想像するだけならいいよね?
バンっ!
大きな音を立てて部屋のドアが開いた。
「リイナ!!」
ユメが驚いて入り口を見ると、そこには顔を真っ赤にした女性が立っていた。
その後ろには旦那さんらしき男性とその腕に抱かれたリイナちゃんよりも幼い男の子。
リイナちゃんの両親と弟のようだ。
リイナちゃんがお母さんの声に反応して目を擦りながらゆっくり起き上がる。
「……ママ?」
「リイナ!」
お母さんはすぐにこちらに駆け寄ってきた。
そしてリイナちゃんをぎゅうっと強く抱きしめる。
「良かった……っ、捜したのよぉ……本当に無事で良かった」
「ママ?」
まだ起きぬけでぼーっとしているリイナちゃんは、何でママが泣いているのか分からないふうだった。
お父さんもほっとした様子だ。
弟くんは指をくわえたまま、そんなママの後姿を見つめていた。
良かったね、リイナちゃん……。
そう思いながらトランクスの方を見ると、彼もこちらを見ていた。
目が合ったふたりはにっこりと笑い合った。