第3章 二日目
そのまま少し歩くと小さなアイスクリーム屋さんを発見した。
トランクスが欲しい? と訊くとリイナちゃんは目を輝かせて「うん!」と頷いた。
そこで初めてリイナちゃんはトランクスの手を離し、アイスクリームに夢中になった。
そんなリイナちゃんを見ていて、
「こんな子がいたら楽しいだろうなぁ」
急にトランクスがそんなことを呟いた。
思わずドキっとしてしまうユメ。
リイナちゃんを見るトランクスの顔が本当に優しかったから……。
「……トランクスってすごく良いお父さんになりそう」
思ったことをそのまま口に出すユメ。
するとトランクスはちょっとびっくりした顔をしてから、
「そう……かな」
と頬を引っ掻いた。――照れてしまったようだ。
なんだかおかしくてユメは笑った。
そして、三人は案内所にたどり着いた。
「今のところ親御さんからの連絡はありませんねぇ」
そこにいた職員に言われて顔を見合わすふたり。
「迷子アナウンスを流しますので見つかるまでこちらでお預りしましょう」
「お願いします。良かったねリイナちゃん。もうすぐママに会えるよ」
トランクスが言うとリイナちゃんはきょとんとした顔で彼を見上げた。
「お兄ちゃんは?」
「ん? ……残念だけど、これでお別れだ」
途端、リイナちゃんの表情が急変する。
「やだぁ!!」
そう叫んだかと思うと火がついたように泣き出してしまったのだ。
慌てるトランクス。
「また今度きっと会えるよ。もうすぐママが来てくれるから。ね」
リイナちゃんの目線の高さまで腰を下ろして必死で宥めようとするトランクス。
だがリイナちゃんはトランクスの手を強く握ったまま一向に泣き止まない。
困り果てるトランクスを見て、ユメは職員に訊いた。
「あの、この子の親が見つかるまで、私達も一緒に待たせてもらったらだめですか?」
すると職員の男の人は構いませんよと笑顔で言ってくれた。