第3章 二日目
思わず悲鳴を上げるユメ。
――そして、思わず、トランクスの首に手を回していることにユメが気付くのは、遊園地に到着してからとなる。
「ユメ、着いたよ」
言われて恐る恐る目を開けると、真下に遊園地が見えた。
結局飛んでから五分もかからなかったように感じた。
「うわぁ~!」
真下に広がる遊園地はユメの世界でいう某夢の国と同じかそれ以上に広かった。
「あそこに降りよう」
トランクスは遊園地のゲート近くにゆっくりと下降していく。
そのまま人の死角になる物陰にスタっと降り立った。
「おつかれ様」
そう言って、トランクスは屈みながらユメを優しく地面に降ろした。
「あ、すいませ……っ!?」
と、そこでやっとユメは自分がトランクスの首に抱きついていたことを知った。
「わわっ! ご、ごめんなさっ……ぅわっ」
慌てて腕を放して数歩下がったユメだったが、足がもつれてしまった。
「ユメ!」
トランクスが腕をひっぱってくれたおかげで尻餅はつかないで済んだけれど。
「すい……ません」
「ユメ、謝ってばっかりだよ」
そう言って笑うトランクス。
ユメは真っ赤になる。
何やってんの、私……!
まだ体にトランクスのぬくもりが残っている。
それが無性に恥ずかしかった。
「チケット買いに行こうか」
「は、はい!」
「あ。その前に、ユメ、これからオレに丁寧語使うの禁止。はい、とかもね」
「え?」
急に言われて戸惑う。
「だ……って、トランクス年上ですし……」
「ユメに丁寧な言葉使われると、自分がすごく年取った気になるんだよ。一応まだ若い気でいるんだけど……高校生から見たらもうオジサンなのかな……」
言いながら恥ずかしそうに頭をかくトランクス。
「そ、そんなことは……! じゃ、じゃあ、これからタメ口使っちゃいます!」
「そうしてくれると嬉しい」
満足そうに笑って、トランクスは遊園地の方に足を向けた。
「じゃ、行こうか」
「は……うん!」
そして二人はチケットを買い、いよいよ遊園地に足を踏み入れた。