第1章 一日目
「だめえぇぇぇ―――――!!」
ありったけの大声で、ユメは叫んだ。
「!?」
トランクスがユメの声に驚いたように後ろを振り返る。
いや、その声に驚いたのは彼だけではなかった。
今彼に後ろから襲い掛かろうとしていた人物、セルもまた、ユメの声のせいで奇襲のタイミングを逃してしまったようだ。
悔しそうにそのまま地上に降り立つ。
セルに気がついたトランクスはすばやく戦闘態勢をとった。
セルは予定がずれてしまったことに舌打ちをして彼の真正面に対峙する。
「母さん。中に入ってて……」
トランクスが、セルを睨みながら背後で戸惑っているブルマに言う。
ブルマは気をつけて、と一言残して家の中に入っていった。
ユメはまだドキドキと動悸の治まらない胸の前で手をギュっと握る。
トランクスが気付いてくれたことに一安心するが、これから果たしてトランクスは勝てるんだろうか?
ユメはただ見守ることしか出来ない。
「お前……、何者だ」
セルを知らないトランクスは目の前の異形の化け物に向かって訊く。
「必要あるまい。これから殺される者には、な」
「そう、やすやすと殺されてたまるか!」
トランクスが声を上げるとともに超化する。
セルの戦闘力はわからないはずだが、長年人造人間相手に戦ってきたトランクスには相手が強敵だとすぐに気付いたのだろう。
その体が黄金に包まれる。
キレイ……。
本の中で何度も見た光景だったが、ユメは不謹慎に思いながらもその姿に感動する。
「やっと取り戻した平和を、壊させやしない!!」
トランクスが叫ぶ。
――そして、戦闘が開始された。