第2章 一日目の夜
「ありがとう。でもしょうがないんだ。オレは、異質な存在だから」
そしてまた笑顔。
――ユメは大きな衝撃を受けていた。
ユメはドラゴンボールを読んでいて、トランクスがこの時代で英雄になったのだろうと、そして幸せに暮らしているのだと、信じて疑わなかった。
まさか、こんなことになっているなんて――。
「なんで……」
「?」
立ったまま俯いたユメの声が震えていた。
「なんでトランクスは笑っていられるんですか……」
辛いはずなのに、なんで『しょうがない』と笑えるのか。
ここにきてユメの心にあった感情がなんなのかわかる。
“悔しい”
何もわかっていない人たち。
それを受け入れて笑っているトランクス。
そして、何も知らなかった自分……。
「トランクスは何も悪いことしてないのに! みんなを助けてあげたのに! なんでそのトランクスがみんなから怖がられなくちゃいけないんですか!!」
「ユメ……!?」
いつのまにかユメは泣いていた。
「だって、そんなの、トランクスが可哀想過ぎます! ……っ」
最後は結局、嗚咽に変わってしまった。
「……ありがとう。ユメがそう言ってくれるだけで、オレは救われるよ」
腕で涙を拭いながらユメは首を横に振る。
そんなユメをトランクスはとても優しい目で見つめていた。