第2章 一日目の夜
「んー。オレは、確か……5日くらいだったかな」
「自分から戻ったんですか?」
「そう。結局家が恋しくなったんだ」
そうしてトランクスは再び優しく笑った。
心の中でほっとするユメ。
「ユメは、お母さんが嫌い?」
「あ……。いえ、嫌いってわけじゃ……ないです」
「そっか。なら大丈夫だ」
トランクスがにっこりと笑って言った。
と、そこへ大五郎がコーヒーを運んできた。
「ありがとう、大五郎」
トランクスはまたクスクスと笑いながら、大五郎の頭をポンポンと叩いた。
ユメは、複雑な気持ちでそんなトランクスの横顔を見つめていた。
さっきも妹って言われたけど……。
なんかトランクス、私のこと完全に子ども扱いしてるよね。
ユメは昼間のブルマの言葉を思い出す。
『あの子って顔はいいのに、女の子に免疫がないのよね~。もし良かったら、トランクスのガールフレンドになってやってね』
ガールフレンド……か。なれたら、そりゃ嬉しいけど……。
戻っていく大五郎を見送っているトランクスをユメはじっと見つめる。
それに気が付くトランクス。
「ん、なに?」
「……」
訊きたい。
トランクスに訊きたいことがある。
意を決して、ユメは口を開いた。
「トランクスって……」
「?」
「彼女とか、いないんですか?」
「っ!!?」
トランクスは危うく口に付けたコーヒーを吹きそうになって慌ててテーブルに戻した。
「――なっ、なんで急に、そんな……」
その顔は真っ赤に染まっていた。
「だって、トランクスって大人だし、いてもおかしくないなと思って……」
言いながらユメも緊張してきた。
勢いで訊いてしまったけれど、これでもしYESと言われたら……。