第2章 一日目の夜
「ユメ、どうしたの? こんな時間に……」
トランクスがユメの方にゆっくりと近づいてくる。
「ご、ごめんなさい! 勝手に使ってしまって!」
「いや、それは全然構わないんだけど……」
真っ赤になって謝るユメのすぐ近くまで来て、トランクスはもう一つの椅子に手を掛けた。
「隣、座っていいかな?」
「ど、どうぞ!!」
ひゃ~! 私ってば、ちゃっかりミルクまで頼んじゃったりして……すっごい恥ずかしい~!!
ユメの頭の中は半ばパニックに陥っていた。
「……もしかして、眠れなかった?」
トランクスは椅子に座ると、そんなユメの顔を覗き込みながら優しく訊いた。
「は、はい。それでここのことを思い出して……すいません」
「いいよ。それより気に入ってもらえたみたいで良かった」
ニコリと笑うトランクス。
「はい! すっごく。特に大五郎が可愛くて」
ユメが言うとトランクスはきょとんとした顔をした。
「大五郎……?」
「え……あ! あのロボットのことです! あぁ、すいません! 勝手に名前付けちゃいました……」
慌てるユメを見てトランクスはなぜか吹き出した。
「あっははは、大五郎って……! いいなぁ。大五郎か。特に名前は決めてなかったから。今日からあいつは大五郎で決まりだ!」
涙まで浮かべて笑っているトランクスをユメは目を真ん丸にして見ていた。
それに気が付くトランクス。
「ん?」
「あ、いえ。トランクスもそんなふうに笑うんだなって……」
ユメがそう言うとトランクスは笑うのを止めてユメを見た。
「え、おかしい……?」
「ちょっと、意外でした」
トランクスは少し顔を赤くして視線を上げた。
「そう、かな」
「落ち着いた雰囲気があるじゃないですか。トランクスって。だから……」
「……確かに、大笑いすることはあんまりないかな」
照れているトランクスを見て、ユメは小さく笑う。
彼のそんな一面が見られてユメはとても嬉しかった。