第1章 一日目
「――あ、いえ! 私はただの迷惑者ですっ」
俯いて両手を大げさに振る。
なんだか恥ずかしくて顔が上げられなかった。
すると、
「オレも嬉しい」
トランクスがそう言った。
下を向いたまま目を見開くユメ。
「なんだか急に妹ができたみたいだ」
…………。
妹、ね。ハハハ……。
ちょっと期待してしまった自分に笑ってしまう。
でも、嬉しいことに変わりはなかった。
だから、
「私も、お兄ちゃんができたみたいで、嬉しいです」
ユメもそう言って顔を上げた。
ちょっと驚いた顔をしてから、トランクスはまた笑った。
「じゃ、まずは洗面所から案内するよ。おいで、ユメ」
そう言って背中を向けるトランクス。
……『おいで』って!?
ユメは固まる。
そういえば、いつの間にかトランクスのユメへの言葉使いが砕けていることに気が付いた。
最初は確か、デスマス口調だったような……。
「ユメ?」
ついて来ないユメを不思議そうに振り返るトランクス。
でも……なんか、すっごく嬉しいっ……!
「はい!」
ユメは大きく返事をして、トランクスの方に駆け寄った。