第1章 一日目
「……と、これで全部運んだわよね。簡易ベッドでごめんね、ユメ」
「いえ、全然かまわないです! ありがとうございます!」
ここはトランクスの隣の部屋。
まだ新しい塗装の匂いがする。
窓が大きくて開放感があり、そこからキレイにグラデーションした夕焼け空が見えた。
先ほどトランクスがベッドと掛け布団をこの部屋に運んでくれたのだ。もちろん一気に。
「うちにはひとりで10人分働いてくれる人がいるから楽だわ~」
そうブルマが上機嫌で言っていた。
「他に何か必要なものあったら言ってね。女物は私の物しかないけど……。あ、パジャマ! 何かあったかしら。ちょっとトランクス! 洗面所とか案内してあげててー」
「わかりました!」
トランクスが返事したときには、ブルマはもう見えなくなっていた。
……やっぱり元気な人だなぁ。と、ユメはポカーンとブルマの消えた先を見つめていた。
「あのはしゃぎよう。久し振りに見たな」
隣を見上げると、トランクスの横顔があった。
「え? いつもってわけではないんですか?」
ユメのブルマのイメージは、いつもあんなふうに元気だったから。つい訊いてしまった。
「いつも笑顔を絶やさない人だけどね。あんなに嬉しそうなのは久し振りだよ」
そう言うトランクスも嬉しそうで、ユメも嬉しくなってしまう。
「ユメのおかげだよ」
「え?」
いつの間にかトランクスがこちらを見て微笑んでいた。
その笑顔にドキリとする。