第1章 一日目
「だって、血も付いていたし、普通女の子ってそういうの嫌がるじゃないですか!」
笑った理由をブルマが話すと、トランクスは顔を真っ赤にしながら叫んだ。
「はいはいっ! ほら、コーヒー入れたんだから冷めないうちに飲んで! ユメもどうぞ」
「はい。いただきます!」
「~~~~っ」
はぐらかされたトランクスはまだ少し赤い顔でユメの隣に座った。
ふわっと石鹸のいい香りがして、ユメはなんだかどきどきしてしまう。
髪の濡れた彼は、妙に色っぽかった。
いまだに信じられないけれど、確かに今隣にいるのはユメの憧れの人だった……。
「でもホント良かったわ。トランクスが無事で。さっきの化け物、一体なんだったのかしら」
「わかりません。オレが人造人間たちを殺したことで予定がずれた、とか言っていましたけど……。しかもアイツ、悟空さんの技を使ってきたんです。驚きましたよ」
「へぇ~」
ユメはカップに口をつけながら、ただその会話を聞いていた。
セルのことを全部知っているユメは知らないフリをするしかなかった。
「でも、すごく強かったです。少なくとも人造人間たちより全然。……だから、あのときユメがいてくれなかったらと思うとゾッとしますよ」
「そうね。本当にありがとう、ユメ」
「いえ! 私はただ叫んだだけだから……」
二人に言われて照れるユメ。でも。
「――そういえば、ユメはなんであんなところにいたの?」
「え……?」
――ど、どうしよう……えっと……。
ユメは頭をフル回転させて考える。
まさか、「実は本の世界に入ってしまったらしくて、いつの間にかあの場所にいたんです」なんて言えるわけがない!