第3章 佐々倉 ルーム
~ 佐々倉side ~
店に入ってきた瞬間から思っていた不思議な感覚 ...
この人 、普通の人じゃない ...
このお客さんに話しかけられ 、思わず気持ちが高ぶり 、今の率直な気持ちを カクテルに込めた 。
『 運命の出会い 』、『 心に火がついた 』
そして 思わず誘ってしまった 。
まだグラスにカクテルが残っているのを尻目に 、シェイクを始める 。
『 ビトウィーン・ザ・シーツ 』...
そう 、意味は ...
『 今夜ベッドを共に 』
この人は 、たぶんカクテルの意味をわかっている 。
俺の目を見て 逸らす 。そしてゆっくりと頷いた 。
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仕事を終え 、外で待つあの人の元へ急いだ 。
「 すみません 、お待たせして ... 」
大「 あ ... 、いえ ... 」
「 あの 、そういえば お名前 ... 」
大「 大野智 です ... 」
そう会話をするうちに 、俺の家へ着く 。
大「 ... 船 ... ? 」
「 あ ... 、はは ... 、まぁ ... 上がってください ... 」
まぁ 、そうなるよな ...
中へ入ると 、キョロキョロ見回す大野さん 。
「 あ 、そこらへん 座ってくださいよ 」
大「 失礼します ... 」
だいぶ緊張してるな ...
「 なんか ... 飲みます ? 」
カクテルを作る練習の為に 、家には色々置いてある 。
大「 あ 、じゃあ お願いします ... 」
シェイクし 、グラスに注いだのは 、『 アイスブレイカー 』。
『 高ぶる心を沈めて 』
大野さんの目の前にスッと差し出す 。
「 これでも飲んで 、落ち着いて下さい 」
グラスを持ち 、流し込む 。
大「 ... やっぱり 、貴方の作るカクテルは 、不思議な気持ちになる ... 」
そう言うと 、そっとグラスをテーブルに置き 、じっと俺を見つめた 。
大「 今夜は ... 、もっと貴方で酔っていたい ... 。俺のこと ... 酔わせてくれますか ... ? 」
こうして俺を求める人は ... 、一夜だけなんだ ...
一夜だけの関係に過ぎないんだ ...