第3章 佐々倉 ルーム
~ 大野side ~
ここは 都内のあるバー 。
この店に『 神のグラス 』を作るバーテンダーがいるって聞いてきたんだけど ...
「 あの ... 、佐々倉溜さん って どの人ですか ... ? 」
近くにいたバーテンダーに聞いてみた 。
佐「 あ 、僕です 」
そう言ってニコッと微笑む 。
なに ... この人 ...
見てるだけで酔いそうだ ...
「 あなたの作るカクテルの噂を聞いて ... 」
佐「 なにか お作りしましょうか ? 」
「 あ 、じゃあ お任せします ... 」
佐「 かしこまりました 」
美しい動作でカクテルを作っていく 。
思わず見蕩れてしまうほど ...
佐「 ... お待たせしました 」
そう言ってスッと目の前に出された黄色い綺麗なカクテル ...
佐「 アイ・オープナー です 」
... 確かこれの意味って ...
佐「 ... 運命の出会い ... 」
急に恥ずかしくなり 、佐々倉さんから目を逸らす 。
佐「 ふふ 、よく頼まれる方 いるんです 。カクテルには 色々な意味があって ... 」
わかってる ... 、わかってるから戸惑ってるんだ 。
グラスを手に取ると 、ゆっくり流し込んだ 。
口に広がる 卵黄の味 ...
「 あ ... 美味しい ... 」
これ ... 病みつきになる ...
佐「 他にも お作りしましょうか ? 」
いつの間にか飲み干していたグラスを見て 、佐々倉さんが言った 。
「 あ 、お願いします ... 」
美しくカクテルを作る様子は 、妖艶にすら見える 。
佐「 お待たせしました 。ブランデー・ブレイザーです 」
そう言ってスッと出されたグラス ...
意味は ...『 心に火がついた 』
思わず 佐々倉さんを見上げる 。
佐「 待っててもらって いいですか ... ? 」
カウンターからぐっと身体を乗り出し 、俺の近くでそう囁いた 。
俺は ただ黙って頷くことしか出来ず 、まだ一杯しか飲んでいないのに 、身体が熱くなってきた ...