好きになったっていいじゃない【アイナナ】R18*完結*
第8章 グルグルまわる
「今日のスケジュールはラジオ収録が終了したらPVの撮影だからね」
「……うん」
「ダンスの振り付けちゃんと覚えてる?」
「……うん」
「今日は何回リテイクされるのかな?一応、明日まで仕事は入れてないんだけど」
「……うん」
「ちゃんと聞いてる?」
「……うん」
「聞いてないよね?」
「……うん」
「!!」
「んあ?!……ちょっ!」
いきなり私の髪をわしゃわしゃとする里絵から逃れるように体をひねったら、一瞬腰がグギッとなったぞ。
「なにすんだよ」
「話を聞いてなかったでしょ?」
「ごめん……」
「(素直に謝るなんて可愛い)
ねぇ、レコーディングをした日からずっとおかしいよね?」
「そ、そうかな?」
里絵にバレたら……怒りそうだよな
天にキスされた___なんて絶対に口が裂けても言えないよ。
「心此処にあらず……だよね?」
「やだなぁ、里絵ったら。私の心は此処にちゃんとあるじゃん」
心臓に手をおいてアピールをしてみると苦笑を浮かべた里絵だけどすぐに真顔になって私の顔を見つめてきた。
「天……」
ギクッ
「天と何かあった?」
「な、なんもないっ……けど?」
「そう?……天のことキライになっちゃったの?」
「なんで?」
「天、天って騒がなくなったからさ」
脳内で騒いでます。
天の事で頭が埋め尽くされている___とは言えないよ。