第3章 緋守高校とゲヴァルト
放送が終わった直後の生徒会室。扉を開ける音と同時に服から髪まで青に包まれたストレート髪の女が部屋に入ってきた。
「ご希望通り、流してきましたわ。」
そう言い終わると女はCDを男のいる机に置いた。
「姿を現すといいですね、あの二人…」
「来ないわけがないだろ」
椅子に座っている男は机に置かれたCDを手にし、まじまじとみた後、にやりと笑いながらつぶやいた。
「そのための作戦なのだから…」
放課後、1年4組にて。莉子、千秋、朱とそのほか数名は教室掃除をしていた。莉子はため息をつきながら口にした。
「…まじめんどくさいんだけど」
「てか集まり、結局行くのか?」
「そりゃ一応行くよ」
掃除のやる気がない二人の会話を聞いた朱が聞いた。
「この後何か用事があるの?」
「あ、まぁちょっとね…」
ゲヴァルトの存在は極秘である、それがふと頭に浮かんできた莉子はうまく誤魔化した。
「誰かゴミ捨て行ってくれないか?」
「あたしと朱が行きまぁす」
先生の言葉に詰まることなく莉子がすんなり答えた。
「いいよね朱?」
「うん!莉子ちゃんと一緒なら。」
「ゴミ捨てやるなんて珍しいな」
「サボれるじゃん?」
「ちょっずるいぞ莉子!!」
そのまま莉子と朱は二つのゴミ箱を一個ずつを持ち、莉子はそのまま手を振って行った。
「…くそ自分だけサボりやがって」
一人でぶちぶちといいながら千秋は掃除を続けた。
「紺野千秋だっけか?」
掃除途中の千秋に後ろから掃除道具をもった奴が話しかけてきた。
「俺は椚谷秀(くぬぎやしゅう)、班一緒だよな?よろしく」
「おう、よろしく」
「千秋!!今何分!?」
空のゴミ箱を担いで慌ただしく息をきらしながら教室に現れた莉子。
「55分…ってまじかよ!?やばいじゃん!」
「早くしないと!」
「後は神代が帰ってくるだけなら終えて良いぞ」
焦る二人の会話に対し先生が言った。
「ありがとうございましたぁっ!」
先生に礼をした莉子と千秋は慌てて机にあった荷物を持って教室を出ようとした。