第2章 素敵な帰り道(安室透)
「えっと…………驚かせちゃいましたかね?立ち話もなんですし、お店入ります?」
私の肩に触れていた手を箒へ移動させ、片付けを始める安室さん。
安室さんに入るよう言ってもらったんだ、これは今すぐ入るしかない!
「あ、はい!!今日も3人で来ちゃいましtー……」
と、扉に手を掛けて開けようとしたその時
「ああーっと!!なんだかお腹が痛い!!ちょっと今日はご飯食べれないかもー!?」
「うっ……わ、私もちょっとお腹の調子が……ごめん、今日は帰るね……」
と逃げる様に階段をかけ上がる蘭と嘘臭い演技をしながらお腹をさすって帰り道をたどる園子。
あ や し い…………
何してんだあいつらぁぁぁと思いながらも手にかけた扉から今更離すことも出来ず、素直に「失礼しまーす……」と入るなのであった……
「さ、何を食べますか??」
にこやかに聞いてくる安室さん。
他にお客さんも来ていなく、梓さんも買出しで居ないようだ。
と言うことは2人っきり……!?頭の中はその事を考えるだけでパンクしそうだ。愛しい人の声が聞こえてるはずなのにあまり耳に入ってこない……
そんな私を見て心配したのか、安室さんがもう一度聞いてくる。
「……さん?もしかしてあなたも具合悪いんですか?」
そして不意にコツン……とぶつかるお互いの額。
え……え!?!?安室さんの顔が近くて目の前でそれでああああああ
「あああああの!!!安室さん!?!?」
「……あれ?熱い……もしかして熱あるんじゃ……」
「だっ大丈夫です!!」
イケメンこわい……好きでもない子ともこういう事が出来るのか……!?
そう考えたら、赤面していたが急に落ち込む私。
自分の言葉で一々気にしていたらきりがないのに……
そう思い、顔を両手でパシン!と叩き気持ちを切り替える。
「……サンドイッチください!!」
いきなり態度が変わった私に安室さんはきょとんとしつつ、クスクスと笑いながら「かしこまりました」とキッチンへ向かった。