第1章 おはよう愛しい人(降谷零)
「……おはよう、。朝ご飯食べようか」
「おはようございます、零さん。今日は何作ってくれるんです?」
お互い着替えながらそんな話をする。
毎朝の朝ご飯は寝起きが良く早起きな零が担当。その代わり夜ご飯はが担当である。
まあ、実力は零のが高いのだが。
「うーん……サンドイッチでいいかい?」
鏡を見ながら着替え終わった零が問いかける。
「サンドイッチ!大歓迎です!」
「ん、了解。ちょっと待ってて」
私の頭をくしゃっと撫でて微笑んだ後、エプロンを着けて颯爽とキッチンへ向かっていった。
「おいしいいいい…………さっすが零さん!いや、安室さん!!ポアロで働いてるだけあるうう…………」
もぐもぐと美味しそうに食べながら頷く。
「その褒め方は割と嬉しくない」
「いたっ!!」
ムスッとしながら私にデコピンをし、同じ皿に盛り付けられたサンドイッチを食べる零さん。
ふと、先程のことを思い出す。
「そう言えば、零さんいつから起きてたんですか…………」
思い出して恥ずかしくなり、目線を外して問いかける。
「さあ?いつでしょう」
微笑みながらそう答えられた。
これは聞いても答えてくれないやつだな。
「もう…………起きてたなら早く教えて下さいよ!恥ずかしい思いしたじゃないですか!!」
「おや、自分が恥ずかしい事をしたって自覚はあるんですね」
にやにやしながらこちらを見つめ、コーヒーを注ぐ彼。全く本当にこの人は…………
私が次にムスッとすると、彼はまた優しく微笑んだ。
「は普段恥ずかしがってそういう事言わないし、何もしてこないから純粋に嬉しかったよ。
積極的なが見れるなら寝過ごす振りも悪くない」
コーヒーを飲みながら真剣な顔で言う零さん。
なぜこの人は真顔でこんな恥ずかしいことを言えるのか。
「…………もうしません」
最後の1口も食べ終え、ティッシュで口を拭きながらそう答える。
「おや、それは残念。
……まあ、その内嫌でも積極的になりたくなりますよ」
そう言って急に頬を撫でられ、ピクッと反応する私。
その反応に気をよくしたのか次は顎に手を添えられる。
「………………」
零さんの顔が目を閉じてどんどん近づいてくる。