第1章 おはよう愛しい人(降谷零)
反射的にぎゅっと目をつぶり身体を強ばらせる。
……だけどいつまでたっても何の反応もない。
何事かと目を開けてみる。
「……なーんちゃって」
「っ、いひゃい!!!」
両頬をむにーっと伸ばされた。
そしてパッと手を離し、食器を片付ける。
「さ、そろそろ出勤だ。」
「~っ、分かってます!!」
先程から彼のペースに乗せられっぱなしだ。
顔を赤くしながらも、自分も食器を片付けて荷物をまとめる。
「鍵持ったかい?携帯は?財布は?」
「ちゃんと持ってます!
もう……子どもじゃないんだから忘れませんよ」
と言いつつ少し不安になり確認する。
お互い靴を履き、「さ、出ますよ」と外に出ようと扉を開けようとすると
いきなり腕を引っ張られ、体制を崩し零さんの胸倒れ込む。
それと同時に手で顎をクイッとあげられ、触れるだけの優しいキス。
「……続きはまた夜に、ね?」
そう耳元で囁いたかと思えば、段々と赤くなっていく私を見て微笑み、彼は急いで仕事先に向かっていった。
END
→どうでもいいあとがき