第1章 おはよう愛しい人(降谷零)
チュンチュン………………
漫画によくある、清々しい朝にぴったりな小鳥のさえずり。
そして、カーテンの隙間から感じるほんのり眩しい朝日。
アラームがまだ鳴っていない事を考え、まだ寝てていいかな なんて考えながらも目を開ける。
すると目の前に広がる大好きな大好きな彼の顔。
「……………っ!?」
ちちちちちちちちかい!!!
それも当たり前、何故なら私は彼に腕枕されているのだから。
寝ぼけた頭で今の状況を整理しながらもドキドキの心臓。彼が近いと、同棲までしてるのにいつまでたっても慣れない私。我ながら初々しすぎか。
「んー……それにしてもやはりイケメン……」
そうだ零さんは今寝てるんだ。いつもなら私より早く起きてご飯でも作ってくれてるのに珍しい。
私は早起きした事だし、この寝顔を堪能しても悪くないはずだ。
そう開き直り、じーっと見つめてみる。
まつげ長いなーとか、顔小さいなー、とか髪さらさらだなー、なんて。
……やばい、なんだか幸せ実感中。
「零さん……起きてる……?」
そう問いかけると返ってくるのは規則正しい寝息だけ。
よーし、なら調子乗っちゃお。
「……あのね、普段恥ずかしくて言えないけど…………大好き」
そう小声で言って自分で恥ずかしくなって悶える。
大好き そう言ったらなんだか彼がますます愛おしく見えてしまい、目を閉じて唇を近づけたその時ーー
「僕もです」
そう言って腕枕をしていない右手を急に頭に回され、唇を押し付けられる。
「んんんっ!?」
「………まさかに寝込みを襲われるとは」
唇を押し付けるだけでは飽きたらず、頭に回された手をグイッと引き寄せられ舌が私の中に入ってくる。
「んんっ!?……零さんいつから起きてっ……」
ジリリリリリリリ!!!!!!
急にアラームが鳴り、ビクッとなる2人。
鳴らしたままにも出来ず、布団から降りて少し不機嫌そうな顔で零さんが止める。
その光景がなんだかおかしくって笑ったら、零さんも釣られて笑った。