第2章 素敵な帰り道(安室透)
「……あの、そう言えばポアロは大丈夫なんですか……」
バクバクの心臓を紛らわすように安室さんに問いかける。
「梓さんがすぐに帰ってきましたから大丈夫ですよ。それより、僕はあなたが心配でなりませんね……昨日のニュース、見てないんですか?殺人事件がこの街の近くで起きたと報道されてたじゃないですか。」
怪訝な顔でこちらを見る安室さん。
殺人事件……!?その言葉に冷や汗を流し、普段ニュースを見る習慣がない自分に恥ずかしさを覚える。
「……まぁ、今回の事で色々考え直してくれればいいんですが。それにしても本当に君からは目を離せない……」
目を離せない。その言葉はどういう意味で受け取って良いのだろうか。期待の持てる言葉に動揺し、その上熱っぽい視線も感じ…………至近距離と言う事もありドキドキしてしまう。
「気をつけます……っ」
ドキドキがバレないように、見つめあっていた目戦をパッと離す。
……と、その瞬間ーー
「んうっ…………!?」
突然安室さんに唇を奪われた。
触れるだけの、優しいキス。
ポカンとする私をみてクスッと笑う安室さん。
何がなんだか分からず、赤くなりながら問いかけてみる。
「……あ……のっ、今のはどういう……」
先程から色々なことに過剰に反応しすぎてしまい、最早思考が追いつかない。
ぐるぐると頭の中で考えが巡りながら問いかけてみた。
「……僕はさんが、好きです」
……!?!?
更に頭で考えてたらよく分からなくなってきた。
「あむ、安室さんが……っ私を……!?」
「おや、気づいていなかったんですか。僕、結構アプローチしていたつもりなんですが」
安室さんが私にアプローチ……?
頭の中ぐるぐると考えてみる。
……が、それらしいことは思い浮かばない。
「まず、僕が色々仕事を掛け持ちしているのに毎回君と会えている事に何の疑問も抱かなかったんですか?」
「え……いや、運命かなー……って……」
頬をポリポリ掻きながら照れ臭そうに答えてみる。
実際照れ臭い……
「なるほど……そう思われていたのなら結構ですが……
実際は蘭さんに協力して貰っていたんですよ、あなたが来る日を知らせて頂こうかと」
「蘭!?ですか!?」