第6章 いざ試験へ
「__合格だ」
「!」
社長さんがふっと軽く笑みを浮かべ、言い放った。
途端、周囲からわっと歓声が上がる。
「おめでとうございます!」
探偵社の面々が次々にお祝いの言葉を口にしてくれる。
「見かけによらず結構やるじゃないか」
「すっごくかっこよかったです!」
「まぁ、僕には分かってたけどね」
「良くやったな」
「これからよろしくお願いしますね」
「ありがとう、ございます……!」
たくさんの人が私の合格を喜んでくれている。
それだけでなんだか嬉しくて、泣いてしまいそうになった。
「君は本当に良くやったよ、ひなたちゃん。期待以上だ」
「太宰さん……」
涙ぐむ私の肩にポンと手を置いてくれる。
「よく状況を理解し独断専行に走らず、社員を守ってくれた。君は探偵社に相応しい。皆も認めてるよ」
「はい……ありがとうございます……!」
堰を切ったように涙が溢れ出す。
(私……やったんだ……! 探偵社で働けるんだ……!)
「谷崎君も彼女のサポート、お疲れ様。ナオミちゃんもね」
「いえ、何も特別な事はしてないですよ」
「ええ。横浜観光も楽しかったですし」
谷崎兄妹は二人顔を見合わせ、笑い合った。
「そうかい」
太宰もつられて微笑みながら、谷崎に目配せをした。
「あ、ナオミ。ちょっとひなたちゃんに付いててくれない?」
「……分かりましたわ」
ナオミは何か言いたそうにしていたが、兄を信頼しているのか素直に従い、ひなたの元へと向かった。