第4章 試験前に…… 弍
「横浜といえば此処でしょう!」
目の前には黄金に輝く大きな門。
「此処は……?」
「横浜中華街だよ」
門をくぐり抜けると、其処には一風変わった横浜の風景があった。
赤や緑や金色を基調とした、豪華な造りの店が立ち並んでいる。
「横浜にこんな処があるなんて……」
「まぁ、此処はちょっと特別だけどね。中華料理中心の飲食店とか、雑貨屋さんとかたくさんあるんだ」
「へえ……」
周りを見渡すと、ラーメンや餃子や小籠包等の匂いが広がっていた。
(何だかお腹が空いてきた……)
視線を巡らせていると、一軒のお店に目が止まった。
大小、形、味様々な種類の売っている肉まん屋だ。
何とも無しにじっと店を見つめていると、ナオミさんが声を掛けてきた。
「ひなたさん、何か食べますか?」
「えっいやその、肉まんが食べたいとかは別に……!」
(って、何云ってるの私!)
微かに鳴るお腹を抑えながら慌てふためく。
(恥ずかし過ぎる……)
「す、すみませ……」
「兄様! ナオミも食べたいわ。ひなたさん、一緒に食べましょう」
「え、で、でも……」
「そうだね、これから試験があるんだし。お腹空いてると力が発揮出来ないかもしれないし」
ちょっと買ッてくる、と云って谷崎さんはお店の方に向かって行ってしまった。
「すみません、本当お恥ずかしい……」
「良いのですわ。私も食べたかったですし」
にこ、とナオミさんが優しく笑う。
(私の事こんなに気遣ってくれて……)