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俺と彼女のカンケイ

第5章 五話




「…失礼します。」


「…あら、高木くん。どうしたの?」

「……いえ。」

保健室に入ると、篠田先生が事務椅子へ足をくんで座っている光景が最初に移った。

別に具合が悪いわけではない。

先生は形のよい口を上げて笑みを作る。

「…彼女さんならそこよ。」

閉ざされてるカーテンへ指をさす。

カーテンを開けて、眠る美樹に近づく。頬が少し赤い。
額に自分の手をあてると熱が伝わった。

…朝から調子悪そうだったからな。
もう帰った方が良さそうだろう。


「…彼女さんが心配できたの?」

「………。」

「…大丈夫よ。親呼んでるから。」

先生はそう言いながら美樹へ近づき、人差し指でツンツンと頬をつく。

「…起きないわね。」

「…それじゃあ、失礼します。」

「…もういいの?」

美樹から俺へ視線を移す。
先生を見ると少し不満げな顔。

………。

「…何ですか。」

「…アナタって、この子のこと好きなの?そうじゃないの?」

「……それを聞いてどうするんですか?」

うーんと先生は唸って、理解し難い顔を作る。

「…まぁ、いいわ。どうでも。」

今度は俺に近寄って、そのまま体を寄せてきた。
……この人は。こういうことしか考えていないのだろうか。

「…何ですか。」

「…何ですかって、わからない?」

密着したまま俺を見上げてくる。
俺は先生から目を逸らし、体を離した。

「…ねぇ。したくない?」

「………。」

「…教師だから?」

ふふっと笑ってまた俺に近寄り今度は腕を回して抱きついてきた。

「…離してください。」

「…嫌って言ったら?」

「……もう直ぐチャイムが鳴ります。」

そう。放課後ではない。この後まだ授業がある。それを分かって言っているのだろうか。

「……じゃあ………キス。」

「…他をあたってください。」

そもそも何故俺なのか。……いや、きっと他の人にもしているのだろう。
………。

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