Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第8章 ★忠犬リエーフ《灰羽 リエーフ》
鉄朗につられ、衛輔も信行も、周りの部員たちも笑い出す。
「ぎゃっはははは、リエーフおもしれえ!」
『え、や、あの…』
「あれ、俺ヘンなコト言いました?」
ヘンなコト言いました?じゃないよ!
初対面でたべたいな!なんて言わないよ!
内心絶叫しつつ、顔面に笑顔の仮面を貼り付ける。剥がすな、剥がれるなよ…
『お客様、こ・ち・ら・か・ら、商品をお選びいただけますか?』
こちらから、の部分を強調しつつ、言った。口元が引きつってる、絶対。
「だから…俺、オネーサンがいーの」
ハァ…とため息を吐きながら、カウンター上の私の手に触れる。指先がヒヤリとした、ゴツい手に私の両手が包まれた。
「オネーサン、俺と付き合って?」
『お客様、ここは、キャバクラではありませんよ?そういった行為がしたいのなら、お帰りを願いますが』
「えぇっ!?まだオネーサンの返事もらってないっスけど!?」
『ちょっと鉄朗!この子頭大丈夫!?』
「いや、ネジ取れまくりだから。な?」
ネジ取れまくり、と言いながら、鉄朗は灰羽クンの背中をべしべし叩いた。
「クロさんひどいっスよー!」
『キミの性格もだいぶひどいよ…』
どうやらこの灰羽クン、相当の曲者だ。
「まーまー、メアドくらい交換してやってくんね?じゃねーとコイツ、店に来る度毎回口説き落とそうとすると思うぜ?」
「お願いします!」
ガバッと巨体を2つ折りにする灰羽クン。風圧がスゴいよ、風圧。
『………はぁ、分かったわよ。鉄朗がそんなこと言うなんて珍しいから良いけど…アンタ一応後輩なんだからね?』
「アザッス!」
体を起こし、灰羽クンは満面の笑みを浮かべた。それにつられて、私も自然に笑った。