Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第8章 ★忠犬リエーフ《灰羽 リエーフ》
カランカラン…という音が来客を告げる。入り口に目を遣れば、懐かしい姿がそこにはあった。
『いらっしゃい、鉄朗』
「ウッス、先輩、こんちわー」
『今日はいつもに増して大人数で』
「新入生の歓迎会的なね」
なるほど、それでこの人数なのか。幸いにして店内は空いていたので、10人以上の彼らでも座ることが出来た。
鉄朗が好きなもの頼めよー、でも自腹だぞー、と後輩に声を掛ける。そこはオゴリだろ。
『領収書は鉄朗できっとくからね』
「ゲッ、マジかよ!?」
うぇーいと喜ぶ男子高校生。この辺はやっぱり運動部のノリだ。ゾロゾロとレジの前に並び、次々に注文をしていく。全員が注文し終わったところで、再びカランと音がした。
「灰羽おせーぞー!」
「スンマセン、掃除が長引いて!」
灰羽?変わった名字だなぁ。そう思ってその"灰羽クン"を見て驚いた。
いやデカっ、どうみても日本人じゃないよ…
「リエーフも注文してこい」
「はいっス!」
荷物を置き、ドタドタと灰羽クンがやって来る。いつもの営業スマイルを浮かべ、マニュアル通りの言葉を口にした。
『いらっしゃいませ、ご注文お伺いします。メニューはこちらになります』
カウンターに置かれたメニュー表を手で示しながら言う。灰羽クンがこっちをじっと見詰めてくる。
え、何ですかね…?
熱い視線に耐えきれず、思わず狼狽える。あのね、フツーにバイトしてたらこんな客に会えないから、会わないから。
『あの、お客様、ご注文を…?』
「俺、オネーサンがたべたいな!」
『………は?』
灰羽クンはにっこり笑った。後ろで鉄朗が爆笑している。
この子…なんて言った?