Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第1章 マイヒーロー《日向 翔陽》
帰り道。坂ノ下商店に寄り道して、アイスを買った。コーヒー味のパピコ。今日はこの季節にしては珍しく、とても暑かった。
パピコを半分食べ、もう片方も食べようとすると、坂の上からシャーッと誰かが自転車で降りてくる。ピョコンと跳ねたオレンジ頭で、誰かはすぐに分かった。
『ひーなーたーくーん!』
「蒼井さーん!」
手を振ると、日向君はスピードを落とし、私の目の前でキキィーッと音をたてて止まった。
『部活の帰り?』
「おう!そっちも?」
『うん、仕上げしてたの。あの絵ね、先輩と先生にスゴく褒められたの。躍動感良く出てて今にも動きそうだ、って』
「そっか、よかったな!」
ふと、日向君の視線が私の左手のパピコに注がれているのに気付いた。じぃーっと見詰めているので、日向君にパピコを差し出す。
『コレ、食べる?』
「いーの!?」
『部活で疲れたでしょ、あげるよ』
「アザッス!」
言うと、日向君はものすごい勢いでアイスを食べ尽くした。
お礼に送っていくよと日向君。私は断ったんだけど、日向君は夜道は危ないからの一点張り。とうとう私が折れて、送ってもらうことになった。