Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第1章 マイヒーロー《日向 翔陽》
『出来た!』
2週間後、第2体育館に私の声が響いた。残って練習していた日向君と影山くんが駆け寄ってくる。
「蒼井さん、描けたの?」
「おい、見せろ」
「影山くーん、おれの絵ですー」
「何だっていいだろボゲェ!」
『2人とも落ち着いて…』
いがみ合う2人の前に、ずいと差し出す。画用紙の中を覗いて、日向君が目を輝かせた。
「おお、すげー!これ、おれ!?」
『うん。頑張ってスパイクしてるところ描いてみたんだけど…どうかな?』
「うまい、うまいよっ!な、影山?」
「ああ。線が綺麗だな」
画用紙の中には日向君。両足で踏み切って、ボールを打つその瞬間。私が見惚れた後ろ姿を描いた。本当はユニフォームのところを描きたかったけど、さすがにその為だけに着てもらうのは申し訳無い。
2人から褒められて、私はとても嬉しい。顔中の筋肉が、弛みきってるみたい。
『ふふ、ありがとう。協力してくれたから、素敵な絵が描けたよ』
「またなんかあったら言ってな!」
日向君と影山くんに見送られ、私は第2体育館を後にした。今日でここに来る日も最後だと思うと、胸がつきんと痛んだ。振り向くと、日向君がまだ手を振っていた。なんとか笑って、私も手を振り返した。