Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第1章 マイヒーロー《日向 翔陽》
『ごめんね、日向君。雪ヶ丘だったら、ここから真反対だし遠くなっちゃうよね…』
「いいって。それに俺が蒼井さんといたかっただけで…」
『へ、何て?』
「なっ、なんでもないっス///」
最後の方が聞き取れなかったから、訊いてみたら顔を真っ赤にして否定された。そんなに暑いかな?
家までは、他愛のない話をたくさんした。部活のこと、影山くんのこと、お昼のこと、ライバル校のこと、インハイのこと。
気が付けば、私の家のすぐ前だった。
『日向君、送ってくれてありがとう』
「ううん!こっちこそ、カッコいい絵を描いてくれてサンキュ!」
またね!と手を振って日向君は自転車に跨がった。そして来た道を戻るように漕ぎ出した。私も家に入ろうとドアに手を掛けた時。
「蒼井さーんっ!」
『えっ、日向君!?』
シャコシャコシャコシャコとけむりがたつほどの勢いでペダルを漕ぐ日向君。家の前まで戻ってくると、ぜぇはぁと荒い息をしている。
『え、忘れ物とか…』
「言いたいことあって!」
言いたいこと、って何だろう?
日向君は顔を赤く染めて、意を決したように口を開いた。
「おれ…初めて見たときから、蒼井さんのことずっと…///」
『ずっと?』
「す、すっす、すすす…///」
『す?』
「好きでしたッ!」
『………っ///』