Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第6章 友達以上恋人未満《白布 賢二郎》
【蒼井 side】
ずっと前から、好きだよ…
たった一言、たった11文字。
それだけを言うのに、今までどれほどの時間を費やしてきたんだろう。どれだけ、躊躇ったんだろう。
仲が良いねって。お似合いだねって。言われる度に違うよー、と否定する。賢ちゃんも同調して、ただの幼馴染みだよ、と言う。
幼馴染み
ただの
その言葉を聞く度に、チクリ。胸が痛む。
貴方のその口で、言ってほしくない。
"ただの"なんて、言わないで…
『ずっと…好きなの。もう何年も、賢ちゃんしか見てなかったの。ねぇ、幼馴染みじゃなきゃダメかな?彼女じゃ、ダメかなぁ…』
「海宙…」
思わずこぼれる雫と想い。ポロポロ溢れるそれは、ポタリと地面にシミを作る。
ああ、ワガママでゴメンね、賢ちゃん。
でもね、ずっと貴方の隣にいたのよ?
そこは私だけの場所でいたいの。
過去も、
未来も、
私だけの。
「泣くなよ。俺、お前の涙に弱いんだよ」
そう聞こえたかと思うと、フワリと包まれる温かな感触。賢ちゃんの手が私の背中に回され、優しく撫でられる。
「あーあ、俺のが先に言いたかったのになー。海宙ってば、先に言っちまうんだもんな」
そう言って、賢ちゃんは笑った。少しはにかんだような、笑顔で。
「俺も、ずっと前から好きだ」
ねぇ、賢ちゃん。
その言葉だけで、
私は世界1の幸せ者になれるよ。
友達以上、恋人未満。
曖昧だったその距離は、
今―――
END.