Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第1章 マイヒーロー《日向 翔陽》
日向君に助けてもらってから1ヶ月。
今日の放課後も部活だ。今月の課題は"スポーツをする人"。鉛筆で、時間があれば絵の具で色を着けるとの事。
課題を知らされたときは悩んだ。私は運動が苦手だし、人物画も得意ではない。茜に相談しようとも考えたけど、茜は吹奏楽部。
とりあえず題材を探そうと校舎内を歩き回ってみる。サッカー、野球、テニスにバスケ。どれも私の描きたいものとは違う。
『どうしよう…』
途方に暮れて困り果てる私の耳に、いつか聞いたボールの跳ねる音が聞こえてきた。
第2体育館を覗くと、練習に励む男子バレー部員の姿があった。勿論、日向君もそこにいた。
黒髪の男子のトスをスパイクする。あの時の後ろ姿と今の姿が、重なった。
その瞬間、私の頭にビビッと来た。
『日向君っ!』
「うぉ、蒼井!」
声を掛けられてびっくりしたのか、日向君が肩をビクッとさせて振り向く。私に気付くと、近くまで来てくれた。
「おい日向ァ!」
「影山、ちょっとタンマ!」
そっか、黒髪の男子、あれは影山くんだったのか。同じクラスだし、どこかで見た気がすると思ったわけだ。
「影山に用か?」
『ううん、違くて。日向君に用事』
「おれ?」
突然の事にキョトンとして、目をぱちくりさせる日向君。その顔がどこか間抜けで、可笑しかったからつい笑った。
『ふふふ、面白い顔』
「え、おれそんな顔してた?」
自分の顔をペタペタと触る日向君がますます可笑しくて、思いっきり笑った。日向君もつられて笑ってた。2人して一頻り笑ったところで、日向君に本題を話す。
『あのね、絵のモデルをやってほしいの』
「も、モデルぅ!?」