Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第4章 ★クリームよりも甘く《花巻 貴大》
やがて、ぽつりと彼は呟いた。
「…なぁ」
『なーんでーすか?』
「…やっぱ、いいわ」
あ、ウソついた。
『貴くん、言って良いよ。むしろ言って』
「ん、いーんだよ、別に」
『貴くんてね、ウソつくとヘンな顔で笑うんだよ。知ってた?』
マジか、と彼は呟いた。むふ、知らなかったなこれは。なんかあるなら言ってね、と言うと、観念したように話し出した。
「海宙の彼氏ってさ、俺でいいの?」
『…え、何、それ………』
一瞬、言葉の意味を理解できなかった。
オレデ、イイノ?
何、その言い方、何よ。
『何、それっ!』
「うおっ」
仰け反って貴くんの腕を脱出。そのまま彼を押し倒して上に跨がった。
『何よ…なによぅ…貴くんは私のことキライなの?ねぇ、そうなの?』
こんなこと言ったら重いかな。でもね、君にそんなこと言われるなんて、悲しいよ。
パタリ、ポトリ、と彼の頬に私の涙。それで彼は、ようやく自分が言ったことの意味に気が付いたようだった。
「海宙には、もっといい人が…」
『いないよ!そんなの、いないよ!』
大声を上げる私に貴くんは驚く。でも溢れる気持ちが止まらない。堰を切ったように次から次へと言葉が出る。
『私が好きなのは貴くんなの。貴くんしか今は要らないの。貴くんがいれば、それで…世界か貴くんを選べって言われたら、迷わず貴くんを選ぶの。貴方(あなた)が………』
―――好きなの
最後の言葉は彼の胸に顔を埋めていて届かなかったかもしれない。
それでもお願い、気が付いて…
私には、貴方だけなのよ、貴くん。