Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第36章 ★私の彼氏は狼君。《京谷 賢太郎》
急なことでビックリして、賢太郎の胸を押す。けど彼の力には敵うハズもないし、キスをされるがままになっている。
周りの目もあるのに、長い長いキス。舌こそ絡めはしなかったものの、解放される頃には、すっかり腰が砕けていた。
『っはぁ、けん、たろ…///』
「及川さんに何されてた」
『抱きしめられてた。ごめん』
足が頼りないので、賢太郎の胸にすがりながらそう言うと、上からチッという舌打ちが降ってきた。
「ゴメンで済んだら警察いらねェだろ」
『警戒してなかった。及川がそーゆーヤツだって知ってるのに、防御が甘かった』
「次、放課後は玄関で待ってろ」
『分かった。賢太郎が望むならそうする』
そう返し、彼の背に手を回す。部活のすぐ後だから汗ばんでいたけど、それすらもいとわない。賢太郎は平均よりも体温が高くて、あったかい。しばらくそうやってぎゅうっとしていると、ピューっと誰かの口笛。
「狂犬ちゃん…及川さん妬けるなぁ?」
「京谷、そーゆーのは家でやれ」
「っす…」
「あ、及川サンはスルーなのね!?」
騒ぐ及川を無視し、岩泉や花巻が集まる。クソリア充めとか、俺にしない?とか、色んな言葉が飛び交う。
「ねぇ、俺とかどうよ?」
『ごめんね花巻。アンタがモテるのは分かるんだけど、私は賢太郎一筋だから。ってかどさくさ紛れに口説くのどうよ』
「ったく、京谷だけじゃねぇ、蒼井もだぞ。ちゃんと気ィ付けろ」
『はぁい岩サマ。気を付けまぁす』
「誰が岩サマだコラ」
ニッと笑いながら、岩泉は私の頭を小突く。一瞬賢太郎の顔色を窺ったけど、何事もなかったようにしている。
いつからか、賢太郎は岩泉には従うようになった。野生の勘からか、それとも本能からなのか。どちらにせよ、粗暴だった賢太郎がそれで丸くなったのは事実だ。
「おい、帰るぞ」
『あ、もう?分かった。じゃね~』
スタスタと歩き出す賢太郎を追って、パタパタと体育館を出るのだった。