Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第35章 ☆お泊まりDay。《孤爪 研磨》
『研磨がさ、私に告白したの、覚えてる?』
「んー、まぁ、なんとなく…」
おれが、告白した時。そんなの、緊張で覚えてるわけないじゃないか。でもまぁ、微かに思い出せるのは、桜の花びら、かな。
『お弁当食べてたんだけどね、研磨が私のことじーっと見て言ったの。"好きだからおれと付き合って?"って』
「そう、だっけ」
あんまり、覚えてないや。何を言ったか、なんてこと。それよりも、美味しそうにお弁当を頬張る海宙の方が、鮮明だ。
『その時の研磨の目がね、金色でキラキラしてて、なんか、猫の目…みたいだったの』
「それで、猫?」
『うん、そう』
そうなの、と頷いてから、海宙はふにゃっと笑い、やっぱりヘンかな?と言った。
「そんなこと、ない」
『ん?』
「ヘンじゃ、ないと思う」
クロみたいにはっきりとは言えないけど、おれにしては珍しい、断言。少し不安気だった海宙は満開の笑顔を咲かせ、おれにムギュッと抱き付いてきた。
『もぉ~っ、研磨だーいすき!』
「わ、ちょ、あぶな…っ!」
グリグリ押してくるもんだから、勢い余って後ろに引っくり返る。2人分の重さに、ギシッとベッドが軋んだ。
『好き、好きだよ、だぁいすき』
「わ、わかったから。もう離れてよ。」
『やぁだよぉ~。』
んふふ~と言いながら俺の胸にすりすりする海宙。海宙を優しく撫でながら、ポツリと呟いた。
「…やっぱり、ノラ猫」
『ん?』
「海宙って、自由でノラ猫みたい」
『そっか~じゃあ私たち猫カップルだね!』
にかり、と笑う海宙。猫カップルってなんだ、猫カップルって。
引っ付いたまま離れない海宙。ちらりと時計に目を遣ると、日付の変わる5分前。しまった、デイリークエスト行ってないのに。スマホに手を伸ばそうとすると、海宙の重みが増した。
「うそでしょ…寝てるし…」
抱き付いたまま眠る彼女の姿に、脱力。どこまで、自由人なんだ。でも、何にも縛られない、そんな海宙を好きになったのだから仕方がない。
「おやすみ、海宙…」
額にかかる髪をハラリと避け、ひとつ、唇を落とした。すぅすぅという、規則正しい寝息を聞きながら、おれも眠りへと落ちていった。