Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第35章 ☆お泊まりDay。《孤爪 研磨》
朝、目を覚ます。ぼやっとしていた視界が段々とクリアになる。と、目の前には口を小さく開けて熟睡している海宙。
「―――っ!?」
慌てて布団から跳ね起きる。かなり大きな音がしたけど、海宙は気付かない。
まさかおれ、そういうことをしたのか?いやいや、それにしてはおかしいだろ。服は着てるしベッドもきれいだし。
「添い寝、してただけか…」
焦って驚いて、ムダな体力を使った。あ、今日はちゃんとデイリークエスト行かなきゃ。床に座り、そう思ってスマホをいじること数分、もそもそと動く気配を感じた。
『…ん……ぁれ、けんま…?』
「海宙起きた?おはよ」
『おはよ~』
まだ眠気があるのか、ふにゃりと海宙は笑う。その柔らかな髪をくしゃりと撫でると、海宙がおれに抱き付き、きゅっと力がこもる。
「どうしたの」
『なんかね。幸せだなぁって』
「ヘンなの」
『はいはい、ヘンですよ~』
昨日の"新婚さん"発言を思い出して照れ臭くなり、冷たく返す。海宙は気にしてないのか、クスクスと笑う。
おれだけが照れてると思うとなんだか悔しくて、不意打ちでキスをした。ちゅ、と軽く唇が触れて、すぐに離れる。
『っ、け、研磨…///』
「これで、おあいこだね」
『ず、ずるい!研磨ばっかり…///』
おればっかり?まさか。
「あのね。海宙」
『な、に…?』
未だに頬が赤いままの海宙の手を取り、おれの左胸に当てる。どくどくと脈打つそれは、いつもよりも速いテンポ。
『あ…研磨も、ドキドキしてる』
「うん、そうだよ」
『そっか、そうなんだ…』
「うん…///」
我ながら大胆かな、いやでも同じベッドで寝てたし別にいいか。なんて考えてたら、パジャマ代わりのシャツの裾をくんと引かれる。と、唇に温もりを感じた。それはすぐに離れ、海宙の赤い頬でキスだったと気付く。それで、闘争心に火が着いた。
「ヤダって言っても、止めないから」
そう告げると、海宙の口に自分の口を重ねる。ちゅっちゅっとリップ音が朝の部屋に響く。こんなところ、クロに見付かったら確実に殺される。それでも、おれも海宙も、この一時の幸せに酔いしれるのだった。
END.