Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第35章 ☆お泊まりDay。《孤爪 研磨》
ベッドに座ってスマホをいじっていると、ちょうどクロからのメールが来た。ぽち、メールを開くと、そこには長々と忠告文が書いてあった。
別々の布団で寝ろだの同じ部屋の空気を吸うなだの。うんざりしてきたその時、海宙がお風呂から戻ってきた。
『研磨、入るよぉ?』
「うん…」
ガチャリ、と入ってきた海宙を見て、一瞬後悔した。中学の時のおれのジャージを着ているのはいい。でもなぜか、下を穿いていなかった。
『研磨、眉間にシワ寄ってるよ…?』
「過保護なクロからメール来た。海宙に手、出すなってさ」
『あっはは、お兄ちゃん過保護~』
けらけらと笑いながら、海宙は俺の隣にぽすっと座った。ジャージのチャックの位置がまたちょうど微妙な所にあり、見えるか見えないかの際どさをかもし出している。
「海宙」
『なに~?』
おれのスマホを覗き込みながら言う海宙。どうして海宙はそんなに無防備…というか気にしないんだ。
「なんでズボン穿いてないの」
『だって、一回穿いたショーツまた穿くの、気持ち悪くてヤなんだもん』
「あ、そう…」
けろりとして言う海宙。なんにも考えていない無垢な海宙に、驚いたというか呆れたというか。周りを気にしない、自由気ままな海宙は、ノラ猫みたいだ。
「海宙ってさ」
『ん?』
「ノラ猫みたい…だよね」
『えぇ、そうかなぁ?』
猫なのかなぁ…とぶつぶつ呟く海宙。まだ乾ききっていない肩までのブラウンの髪を、そっと撫でる。するっと指通りが滑らかで、気持ちいい。
『あ―――っ!』
「…なに」
と、急に海宙が声を上げた。それからぐるっとおれの方を向き、にっと笑って見上げてきた。目は新しいオモチャを貰った子供みたいに、キラキラとしている。
『分かった、分かったよ、研磨っ』
「だから何が」
『あのね、猫だったの』
「は?」
『だぁかぁらぁ、研磨、猫だったの!』
「…おれは、人間だと思う、けど…」
そう返すと、んんん…と海宙が唸った。それからじぃっと見上げる。その頬は、ふろ上がりだからとかじゃなく、赤い。
『わ、笑わない…?』
そう訊く彼女にこくんと頷くと、海宙は口を開いた。