Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第35章 ☆お泊まりDay。《孤爪 研磨》
【研磨 side】
海宙と作ったカレーはおいしかった。だから珍しく、おれはおかわりまでした。胃が痛くならないか心配だったけど、おかわりを頼んだ時の海宙の嬉しそうな顔が見れるなら、別に、いい。
夕食後、某有名ブラザーズのゲーム。ラスボス戦で海宙が瞬殺された。おれは最後まで残り、甲羅のあいつをやっつけた。
『うわぁ、研磨やっぱりすごい!』
毎回のことなのに、海宙は心からの賞賛をくれる。にこりと笑う海宙に照れたのを隠すのに、おれはフイとそっぽを向く。
「別に。攻略方法わかったら、わりと楽…」
『そっかぁ…』
そう言うと、海宙はふわぁとアクビをした。ちらりと時計を見遣ると、針が指すのは10時30分。いつも早寝早起きの海宙には、そろそろ眠たいだろう。
「海宙、眠たい?」
『ん~、研磨ぁ…』
ごしごしと目を擦ると、海宙はすりすりとおれに寄ってきた。普段はハツラツとしていて元気なのに、眠くなると海宙は途端にこうなる。こんな姿を知っているのがおれだけだと思うと、なんか優越感。
「おふろ入ったら寝ようか」
『ん…研磨着替え貸して』
「わかった。後でジャージとか置いておくから、先にシャワー入ってて」
『はぁい』
もそりと立ち上がると、海宙は若干ふらつきながら風呂場に向かった。ペタペタと裸足の歩く音がし、その後バタンとドアの閉まるのが聞こえる。次いでザーッとシャワーの水音。が、それを聞いたのがまずかった。
「やば…」
水の音、と一言に言っても違った。シャワーの音に加えて、水が海宙の肌を打っているのが聞こえるのだ。そして頭に浮かぶのは、海宙の姿…おれとて健全な男子高校生、いくら興味がないといえども彼女ともなればそうはいかない。
『~♪~~♪』
「のんきに歌ってるし…」
海宙の鼻歌が聞こえる。おれがこんなに悶々としてるのに、なんてのんき。付き合って初めてのお泊まり、緊張しているのはおれだけか。
「なんか、腹立つ…」
それと同時に海宙の裸体を想像し、慌てて頭から掻き消す。それから足音をわざとたてて歩き、部屋に着替えを取りに行った。