Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第35章 ☆お泊まりDay。《孤爪 研磨》
ピコピコ、ちゃりーん、ブォンブォン、パッパー、てれれーん。賑やかな電子オンが響く中、絶賛ゲームパーティー中。
『もーっ、信じらんない!あんなに人がヤメテって言ってるのに止めないとか。悪魔か』
「まぁ、クロはそういう人だからね…」
あの後、お兄ちゃんはぷりぷりしながら帰っていった。それから"海宙の晩ご飯は今日はありませーん"と嫌味たっぷりに言い捨てると、どたばたと研磨の家を後にした。
むすっと膨れる私に、研磨は苦笑いしながら言った。私の手にはリモコン型コントローラー、研磨の手にも、もちろん同じもの。
2人して向くのは、テレビの画面。そこでは超有名なヒゲで帽子のおじさんが、オープンカーに乗っている。ちなみに私はきのこ。
『うぅぅぅぅ、八つ当たりだー!』
「ちょ、やめてよ…」
八つ当たり、と叫びながら、私はハテナの箱から入手した亀の甲羅をぶん投げる。それは見事に前を走るお姫様に当たった。
そして被害は先頭の研磨にも。ばいーんと上に飛んだかと思うと、あっという間に順位が下がっていく。
「いや、海宙何すんの」
『ごめん、当たっちゃった』
「仕返し」
そう言うと、私の画面にイカスミ。真っ黒になる視界で四苦八苦、そうこうしているうちに研磨は一位に返り咲き、そのままゴール。
『ぬわぁん、負けたぁ!』
「はい、おれの5連勝。まだやるの?」
『んー、マリカは勝てない…それなら今度はスマブラで勝負だかんね!』
「はいはい。でもその前に…」
研磨が私を向き、腕を伸ばしてあごに手をかける。そして研磨の顔がゆっくり近付く。あと数㎝、というところでぎゅっと目を瞑る。
「ちゅ…」
『ん……あれ、ほっぺ…』
「泊まってくつもりでしょ?それならこっちは夜にもらうから。今は我慢、ね」
イタズラっ子みたいに笑うと、研磨は私の唇をつんつんとつっつく。ぶわぁっと顔に熱が集まり、いやというほどに赤いのが分かる。
『~っいいもん!勝つからいいもん!』
「おれの方が強いと思うけどなぁ」
珍しくからかってくる研磨の脇腹を、うりゃっとどつき、再度勝負に臨むのだった。