Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第34章 迷子の恋心《白布 賢二郎》
あの日から1ヶ月。モヤモヤした気持ちを抱えたまま、学校はテスト期間に突入した。
「…というわけで、今日は若利クン家でみんなでお勉強会だーヨ!」
『なんで天童が仕切ってんのよ!それよりも牛島はそれでいいの?』
「問題ない」
あ、そっすか…天童がついさっき言い出した"勉強会"。1週間後に控えたテストのために勉強しようということだ。企画としては大変良いかと思われる。だが、しかし。
『うぅー、帰りたいっ!』
「先輩、うるさいです」
「蒼井~?情緒不安定ダヨ?」
『あんたらのせいでしょーがっ!』
牛島家に向かう道中、私の両隣にはなぜか天童と白布。よりにもよって、この2人。
私としては参加したくないこの勉強会。瀬見がいるというただそれだけの理由で、渋々参加するのを決めた。
そして残念ながら、天童と白布という強敵も一緒にいる。どう乗りきるか考える私に後ろから明るい声が掛かる。
「蒼井さんっ、頭良いんですよね!?」
『五色…いや、別にそんn…』
「そぉだよ工!蒼井は毎回テストで10番以内に入る天才なのさ!」
『天童ぅぅぅう!』
余計なことをあえて口にする天童。そんなこと言ったら、あぁほら、五色の目がキラッキラに輝いてるじゃないですか。
「俺に勉強、教えてください!」
『はいはい、分かったよ』
「俺もー!」
「あ、俺もお願いします」
ニヤ、と笑いながらわざとらしく言う天童と白布。こいつら、五色と違ってタチ悪いな…
「蒼井、俺も分かんないとこあったら、そん時は頼むな」
『せ、瀬見!?』
後ろからひょっこり言うのは瀬見。なんと、瀬見と一緒にお勉強ができるのか。
『うん、うんっ!』
首を縦に何度も振る私。我ながら分かりやすいかな、と思いつつも瀬見は気付かない。鈍感で、よかった…
あっという間に上機嫌になった私。の気分を盛り下げるやつら2人程。
「蒼井、俺にもオシエロヨ?」
「俺もですからね」
『あぁもう、分かっててやってるな!』
「「モチロン」」
こんにゃろう…
さて、そうこうしているうちに牛島邸に到着。貴方の職業なんですか?と訊きたくなるような立派なお家に、私たちはぞろぞろと入っていくのだった。